ルパン三世×宮崎 駿

スタジオジブリのフリーペーパー『熱風』に
宮崎駿のルパンに対する最新のインタビューが載っていた。
引用掲載させていただきます。
「要するにTVシリーズってめちゃくちゃなんですよ。
今でもめちゃくちゃだと思いますけど、
その頃は本当にめちゃくちゃになっていた。
本数が増えて一定量になった時に、それをまかなえるだけの
スタッフはいませんでした。
だからあっという間に演出になり、あっという間に原画になり、
あっというまに作画監督になり……。
しかもそのスタッフ間の連絡が極めて悪くて、それぞれ
別会社でバラバラに作って、出来上がってみたらこんなもんに
なったっていう、総無責任体制みたいなことで、その日暮らしをしている
っていう感じがありました。
(略)
いつか自分達のちゃんとした作品を作らなければいけない。
いつやれるのかわからないけれど、そういう日が来るためには、
とにかく膝を折らずに、与えられた環境の中で努力するしかなかった。
だから、手加減するんじゃんくて、精一杯やりました。
投げやりでやったわけではなく、一生懸命やりましたけど、
一生懸命やったからといって「このシリーズを作ったんですよ」と
誇る気はないです。
(略)
降ろされた演出に代わって自分達の名前を出すのは
イヤだったんですよ。
何故降ろされたかって?
それは広告代理店とスポンサーが降ろしたんです。
その会議の現場にも行きましたけど、要するにスポンサーとか
TV局とか、代理店というのがどれほど無責任で
いい加減なのものかと、その時に非常に良く学びました。
そして、こいつらを相手に戦っていかなきゃいけないんだという
勉強にもなりました。「こいつら」って言い方もなんですが、
でもやっぱり「こいつら」なんですよね。
そういう時代であり、そういう作品だったんです。
だから、今ちょっと見返してみて、「おもしろいね」なんて
言われるとムカッとするんです。
人の気も知らないでというよりね、そういうことを
理解してもらいたいと思ってるわけじゃないけど、
本当にライブラリー作品として
やるに値するかを真面目に考えろ、と思うだけです。
(略)」
もう一度、ルパン三世を作りますかという質問に対しては
「3秒で断りますよ。
つまんないもん。つまんないです。もうつまんないです。
もう汚れすぎちゃってるんですよ。
パチンコ屋でやったらもうおしまいですよ、もう。
それにつきると思うんです。
泥棒するって言ってもね、
現実ではもっと大泥棒やってるじゃないですか、
合法的に。
マネーゲームとかいろんなことで。
ルパンがせいぜい金塊なんか盗ったって
100キロの金塊が一体いくらだと思います。
計算してみても何十億でしょ。どうせ。
マネーゲームやってる連中の年収とは全然違う。
1%の人間が5割の富を持って行くという時代に、
ルパンが体力使って稼ぐものなんてたかが知れてる。
泥棒が悲しいものになってしまったんですよ。
宝飾店に行って宝石盗んだって大したもんじゃないでしょ?
それは本当に三流の人間がやることなんですよ。
現実にやってるじゃないですか、窃盗グループが。
違うんですよね、全然。」